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民訴法119条にいう「告知」とは?

民訴法119条にいう「告知」とは?②

「発送日に効力が生じ、そこから期間が進行を開始する。」というのが我が国の裁判所の解釈であり、実務です。
 調書には、「発送日」の記載すらないにも拘らず、です。しかし、このようなことが許されてよいのでしょうか?

 

 本件調書の場合、10月24日は金曜日であり、当事者が調書を受領したのは27日の月曜日でした。
 従って、裁判所の論理に従えば、当事者の与り知らないうちに7日間の内の2日が既に徒過し、次の段階に進むか否かを決するのに、5日しか残されていないことになります。
 しかも、上記のとおり、「発送日に効力が生ずる」と言いながら、調書には、その旨の記載はおろか、「発送日」の記載すらありません。
 10月24日は、あくまでも「決定日」として記載されているのみです。

 

 我々が普段、最も頻繁に関わる特許庁の実務は、もっと利用者の便宜に配慮したものとなっています。
 拒絶理由通知書や拒絶査定等には、「送達/発送の日から○日以内に・・・することができます/して下さい。」等の丁寧な注意書きがなされています。
 そして、当然ながら、発送日から起算される場合には、発送日が明記されています。

 

 このような他の行政庁の実務と比べ、裁判所が行っていることは、あまりに権威主義的・前近代的であると言わざるを得ません。
 「発送日」の記載すらない書面1枚を送り、「発送の日から効力が発生している。」と言って憚らないのです。
 しかも、後で詳説するように、実は、その論理に明文の根拠はないのです。
 法の番人として、国民の権利義務に直結する事柄を専門に扱う機関であることを考え合わせると、問題はより重大です。

 

 そして、このような不条理な実務が当然の如く漫然と繰返され、誰も表立って異議を唱えることなく、唯々諾々と従ってきたこと、それが故にまた実務が踏襲され、慣習として強化されていく(それによって法の隙間が埋められてしまう)という悪循環が繰り返されてきたことを思うと、我が国が抱える体質的・構造的問題にも繋がるものがあるように思えてなりません。

 

 さらに悲しむべきことは、このような問題について議論を喚起し、どんなに論理を尽くしても、下級裁判所が、最高裁の実務に対し否定的な結論を出すことは到底期待し得ないという現実、上命下服が徹底した(裏を返せば裁判官の独立が実質的に保障されていない)我が国司法制度の現実です。

 

 ここにも、この国の病理が凝縮されているように思います・・・

 

 

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