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ANTHROPOLOGIE(アンソロポロジー)事件

ANTHROPOLOGIE(アンソロポロジー)事件⑤

 ところが、結果は、「本件審判の請求は、成り立たない」というものだったのです。
 
 取下げの要請に対しあくまでも審決を求めるという“反抗的態度”に対する明らかな報復と見えました。また、A社が外国法人であったため、余計に反感を買ったのかもしれません。
 上記の主張事実と証拠からは、「周知性」と「不正の目的」要件のいずれも認められない、としたのです。
 審決には、一見もっともらしい理由付けが書かれてはいましたが、自由心証主義の趣旨を明らかに逸脱しているというべきものでした。
 
審決の理由
 (週知性について)
 

  1. 周知性を推し量る証左となる新聞広告・雑誌記事はわずか2件のみである。
  2. カタログの発行について裏付けとなる証拠はなく、実際にどのようなカタログ(実物)をどの時期にどの程度作成し、どうやって頒布したのか不明である。

 
 (不正の目的について)
 

  1. (特許庁審査基準に掲げられている)同要件を証するための5種の証拠資料を何ら提出していない。
  2. 不使用取消しされた不正登録1は、平成10年に採択されたものである。
  3. 本件商標は、造語でも、構成上顕著な特徴を有するものでもなく、自由に取捨選択され得る言葉である。
  4. 9区分という広い分野について商品を指定して出願しているものであるから、不正の目的をもって使用するものと断ずることはできない。
  5. 権利放棄の事実及び被請求人が答弁しないことをもって、上記の認定、判断は左右されるものではない。

 

 審判不成立との結論を理由付けるために、あらゆる事情がB社に有利な方向に斟酌されていました。(不正の目的について)4などは、一瞬、何を言わんとしているのか分かりませんでした。
 無効審判の対象としているのは不正登録2であるのに(すなわち、その出願時に「不正の目的」があったかが問題であるのに)、わざわざ不正登録1を持ち出して、不正目的を否定する事情として使ったのです。そして、挙句には、(不正の目的について)5の事由まで付け加えて、B社を擁護したのです。

 
 審決は不合理且つ不当なものであり、このままでは審判費用も回収できませんが、知財高裁に持って行っても、確実に取消されるという保障はありません。
 しかし、A社の現地代理人より、“go ahead”との指示を受けましたので、審決取消請求訴訟を提起し、改めて19号の要件、特に「不正の目的」とは何か、過去の事例等を調査し、検討を重ねて、審決理由の上記各点について、次のように反論を積み上げました。
 

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