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民訴法119条にいう「告知」とは?

民訴法119条にいう「告知」とは?⑥

行政事件訴訟は、それ自体として、一つの特殊な法領域を形成しています。
 日常的に行政事件を扱っていれば、「原処分主義」についてもはや何等の疑問も抱かず、当然の前提の如く考えるようになるのでしょうが、外部の人間にとっては、階層的法秩序の原則から乖離した奇異なものと映り、違和感を禁じ得ないのが現実です。

 

 まさに、「専門家の常識は、一般人の非常識」です。

 

 まして、行政事件の場合は、行政手続の延長として、当事者本人が手続を行おうとする場合も多いであろうに、そのような専門外の大多数者に対する配慮は一切見られません。
 そして、このような「形だけ」の誤導的教示に素直に従った当事者は、さらなる手続的・時間的・経済的負担(印紙代を2倍支払わされる)を課せられ、司法の現場では手続的「無駄」が重ねられているのです。

 

 このような無駄と当事者の被る不利益をなくすためには、原処分主義を周知徹底すればよいだけです。
 行訴法10条2項は、本来、主張し得べき事由を敢えて制限する創設的規定である以上、当事者がそれ以上の不利益を被ることのないよう、これを周知徹底すべきなのです。
 具体的には、裁決等に添付する説明書に、「行訴法10条2項により、裁決取消しの訴えにおいては、手続的瑕疵等の『裁決固有の瑕疵』のみを主張することができ、原処分の実体的判断の違法を理由として取消しを求めることはできない」旨付記して注意喚起し、真の意味での「裁決の取消訴訟についての教示」を行えば、必要にして十分です。
 これにより、当事者の負担と司法における手続の無駄は、可及的に回避することができ、問題は解決されるのです。
 相当な負担と無駄を生じさせ続けながら、何故、これまでその程度の運用方法の改善が行われてこなかったのか、民間の日常的な経営努力と比較して、その配慮不足、努力不足と怠慢には、改めて驚き呆れるばかりでした。

 

 そして、この点についても問題提起したいと考え、敢えて、裁判所の「強制的」指示には従わず、裁決取消請求訴訟も維持し、裁判所がこのような馬鹿げた「教示」について、一言言うことを期待しました。
 しかし、これについての判決も虚しいものでした。上記の行訴法10条2項を挙げ、「裁決の取消の訴えにおいて主張し得る違法事由は、裁決固有の瑕疵に限られる。」と書いただけ!

 

 この事件は、官庁・役人と民間・一般市民の常識との間に厳然として存在する溝の深さを、本当にまざまざと見せ付けられた一件でした。
 また、本件では、裁判官からの特許庁代理人に対する助け舟のような、「麗しい」協力関係も目の当たりにしました。

 

 本件における川柳・狂歌発表!!

 

 出した日も 分からぬ文書が 確定し 裁判官の横着 ここに極まる

 

 最高裁 不受理決定 印刷機

 

 最高裁 不受理不受理で 日が暮れる

 

 最後までお読み頂きありがとうございました。
 本件は、複雑な、しかし興味深い法解釈上の問題を含んでいます。
 関心のある方は「告知事件の真実」をご覧下さい。

 

 

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