7.「前記」と「該」の使い分けについて。
クレームに書く構成要件のうち、新しく出る名詞と既に出た名詞を区別するために、英語では不定冠詞と定冠詞を使いますが、日本語では、「前記」(英語のsaidに相当。)の有無で区別することになります。
この「前記」と同じような意味で用いられるものとして、「該」もあります。
しかし、「前記」と「該」をどのように使い分けるのかについては、ルールがないようです。
そこで、「前記」は、一般的に既に前に出ているものであり、「該」は、直前に出ているものであるというように使い分ければよいのではないかと思います。「該」とは、本来、「まさにその」という意味であり、日常、殆ど使うことはない用語なので、「直前に出ているもの」という稀にしか出番のない役割でよいのではないかと思います。
なお、日本語では、英語の真似をして「前記」等と言わなくても、前後関係からして、自ずから判断できるはずとして、「前記」を使わない人もあり、特許庁でも、この点は、厳格な運用はしていないようですが、アメリカに特許出願したらそうは行きません。
この点をちゃんと記載しておかないと、必ずobjectionがかかります。よって、国際基準を目指す限り、日本出願においても、そのまま英語にできるような明確な書き方をすべきです。