BOBOLI と BOB LEE
BOBOLI と BOB LEE
平成13年2月1日、東京高裁は、BOB LEEと類似だからとしてBOBOLIの登録を認めなかった特許庁の審決を是認する判決をしました。この判決では、両者を類似とする理由が縷々述べられていますが、読めば読むほど虚しくなって来ます。
基本的疑問は、特許庁審判官も高裁裁判官も、何故、これ程「しゃかりき」になって、BOBOLIの出願を拒絶しようとするのだろうか?ということなのです。
BOB LEEの権利者がBOBOLIとBOB LEEは紛らわしいから登録しないでくれと異議申立をして来たのならわかりますが、そうではなく、頼まれもしないのに、これらの人々は、「我こそは正義の味方」とばかり、BOBOLIの出願を拒絶したのです。
BOBOLIとBOB LEEくらい違っていれば、BOBOLIの登録を認めればいいではありませんか。そうすれば、特許庁には、6万6千円の登録料がはいってくるのです。そして、10年後には、15万1千円の更新登録料もはいって来るのです。そのほうが、日本経済・産業の活性化に、少しは寄与するではありませんか。
そもそも、BOB LEEがあるからBOBOLIの登録は認めないぞ!とこのように頑張って、一体何になるのでしょうか?これらの人々にとっては、これで個人的正義感?が満足させられるのかも知れませんが、その結果、明らかに日本経済・産業に害をなしています。
また、このような審決・判決の根底には、この国の民には、BOBOLIとBOB LEEは区別できないのだという考えがあるはずです。そうでなければ、こんな審決・判決は出てきません。そして、自分たちエリートがいてこそ、このような愚かな民を護ってやることができるのだとお考えなのでしょう。しかし、我々国民からすれば、お前たちはBOBOLIとBOB LEEの区別もできない馬鹿だと言われているに等しいのです。
こういう審決・判決がなされると、新しい商標をもってビジネスを行なおうとする者に商標権の保護が与えられず、特許庁は得べかりし収入を失い、国民は商標識別能力の劣ることが奨励されることになります。
一方、これと逆の審決・判決がなされれば、新しい商標をもってビジネスを行なおうとする者の商標権が保護されますから安心してビジネスに励むことができるばかりか、特許庁は収入が増え、国民の商標識別能力は結果として高くなることが期待できます。
大局的に見て、どちらが優れているかは明らかです。こういう「木を見て森を見ず」の審判官・裁判官の方々には、総退場していただくのが、日本の産業・経済再生のために望ましいのではないでしょうか?
(ちなみに、BOBOLIは、イタリーのフィレンツェにある庭園の名前であり、BOB LEEは、ROBERT LEEですから、アメリカの南北戦争の時の南軍の司令官の名前です。アーリントン国立墓地に、その邸宅が保存されています。)
(2005・4・14付記: ここに書いたようなことを実際に意見書に書くと審査官を怒らせて逆効果になるのではないか?との懸念があったので、実際に意見書に書くのは遠慮していましたが、或る事情があって、実際に意見書に書いて見たところ、僅か2週間後に登録査定が来ました。やはり、分かる人は分かるようです。)
(2006・2・10付記: 平成13年2月1日の高裁判決から早くも約5年が経ったので、特許庁審査官の考え方も少しは変わったかと確かめるべく、再度、自費で出願をしてみました。しかし、結果は、あえなく「拒絶査定」でした。拒絶査定には、例によってお馴染みの、語頭音と第2音が破裂音でどうとかこうとか、語尾音がどうとかこうとか、黴のはえたような理屈が、数行付けられているだけでした。懇切丁寧に、審査官は独立の国家機関であるから、「老害的」審判官、裁判官の説にとらわれることなく、登録を許す考え方をしていただきたいと意見書に書きましたが、何を恐れたのか、「聞く耳持たず」に終わってしまいました。「日暮れて道遠し」と虚しくなりました。)