発明の対価が請求できなくなる!?
発明の対価が請求できなくなる!?
発明者が訴訟を起こすのは、発明がされてからかなりの年月が経過した後であることが多いため、殆どの事案で、10年の「消滅時効」が問題になります。
この場合の基本的考え方は、民法第166条第1項で、「消滅時効は権利を行使することを得る時」から進行するとしていることです。
各企業の職務発明に関する規定は千差万別ですが、実績補償規定がなく、出願時補償と登録時補償の規定があった青色LED判決では、消滅時効は登録時から進行するとされました。
実績補償規定があって、その中に対価の支払時期の定めがある場合には、その支払時期が消滅時効の起算点となります。
なお、当所が扱った事件の中に、実績補償規定があっても、その中に対価の支払時期の定めがなかったケースがあり、その場合、当該発明が実施されてから数年が経過すれば実績補償は請求できるから、その時点から消滅時効は進行するというのが裁判所の見解でした。企業内にいながら権利行使が期待できるというのは、日本社会の現実を無視した空論であり、消滅時効は会社を辞めた時から進行すると解すべきであるとした当方の主張は採用されませんでした。