アメリカ特許実務での anticipated とは。
アメリカ特許実務での anticipated とは。
アメリカに特許出願すると、オフィスアクションにおいて、出願に係る発明は(人名)によってanticipatedであるから特許を受けることができない、と言われることがあります。anticipatedは、名詞では、anticipationです。このanticipatedの意味について、まだ適切な訳語を見たことがありません。
AIPPI・JAPANの「米国特許実務用語辞典」には、anticipationが登載されており、「予測性、予見性」というような訳が当てられていますが、理解できません。
発明は「ひらめき」によって生まれるもので、「予測」されたり「予見」されたりするものではないからです。(なお、テニスで、anticipationとは、相手がボールをどこに打つかを予測し、いち早く、その位置に行くことですから、まさに、「予測、予見」です。)
このようなオフィスアクションの場合、anticipateとは、to do something before someone else、すなわち、何かを誰かより先にやるということですから、anticipated by~とあるのは、出願に係る発明は出願人が最初にしたものではなく他人が先にしたものだから特許を受けることができない、ということを意味しています。
なお、出願人より先に発明した人がいるということは、新規性がない場合と、先願に書かれている場合とがありますから、必ずしも、新規性なし、とは限りません。
従って、拒絶理由通知におけるanticipatedは「最先の発明でない。」ということに落着くようです。