特許庁と印鑑。
特許出願人名義変更届を提出したところ、特許庁から、「手続補正指令」なるものがかかり、その理由は、譲渡人の印鑑が特許庁に届け出のものと相違する、というのです。
しかし、出願人が、住所や印鑑等を特許庁に届け出ているという事実はなく、要は、特許庁が、勝手に(恐らく最初に使用したものを)「届け出」と称して管理しているだけのことです。同じ出願人でも、代理人が異なれば、異なる印鑑を使うことは普通にあることです。同一人が、実印、銀行印、認印というように、3種類のハンコを持つことも普通のことです。
そうであるが故に、賢明な民事訴訟法は第228条第4項で、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定し、真正であることを争う者に立証責任を転換しているのです。
特許庁が押印の真正を争うのならば、それが偽造であることを立証しなければなりません。何の利害関係もない特許庁が、そんなことを立証する必要も能力もありません。争いがあるのなら、当事者同士の訴訟に任せればよいのです。
このように、無知故に、余計な問題を提起して出願人に余計な手数をかけさせる特許庁は、裁判所に比べると、かなり遅れていると言わざるを得ません。また、こういうことを詮議するために役人がいるということは、明らかに税金の無駄遣いです。