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フランスの法人の表示方法。

 フランスの法人が関係した商標権の移転登録申請において、フランスの現地代理人も、委任状を、問題の法人名称が「~ソシエテ・アノニム」であるという前提で作っており、当所も、その前提で書類を作って、特許庁に移転登録申請をしたところ、権利の移転を証明する書類のほうには、問題の法人名称が「~ソシエテ・パ・アクシオンス・シンプリフィエ」となっていたため、特許庁登録課に不一致を指摘され、結局、申請は却下されてしまいました。

 

 この「ソシエテ・パ・アクシオンス・シンプリフィエ」というのは、比較的最近、フランスに誕生した「簡略化された株式会社」のことです。従来、最も普通であった「ソシエテ・アノニム」とは異なるものです。「ソシエテ・アノニム」の略称はSAで、「~ソシエテ・パ・アクシオンス・シンプリフィエ」の場合は、SASとなります。

 

 なお、フランス語のアクシオンスとはactionsで、意味は「株式」です。英語のaction には「株式」という意味は全くないのに、スペルは同じでも、フランス語では「株式」の意味になるわけです。ここで、ドイツ語では、株式会社はAktiengesellschaftで、Aktienが「株式」のことなので、ドイツ語とフランス語が、この点では似ているということになります。

 

 なお、特許庁では、フランス法人の「~ソシエテ・パ・アクシオンス・シンプリフィエ」は登録例がまだなかったということで、申請書類に、「フランス国法に基づく法人」であることを付記するように求められました。

 

 また、日本と異なり、フランスでは、会社の法人組織形態を示す語句は商号の一部ではありません。かつて、「バイオプローブ・システムズ」という出願人名称で特許出願をしたことがあり、法人であることの証明を要求されるか?と危惧していたら、何も要求されず、そのまま登録されたことがあります。

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