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サイクロン・ドライヤー と Cyclo

サイクロン・ドライヤー と Cyclo

 平成18年1月31日、知財高裁第3部は、「Cyclo」と類似であるからとして「サイクロン・ドライヤー」の登録を認めなかった審決を支持する判決をしました。

 

 BOBOLIとBOB LEEの場合は、確かに語感が似ていることは否めないので類似の判断も止むを得ないか?との感がありましたが、ここまで類似とされると、どう見ても行き過ぎで、「日暮れて道ますます遠し」という暗澹たる気分になります。

 

 「サイクロン・ドライヤー」という商標から、まず、「ドライヤー」を消去して「サイクロン」だけにし、次に、語尾の「ン」の音は聴取りにくいから無視するというのですから、まるで「手品師」を見ているかのようです。

 

 この件では、税金で維持されている審判官、裁判官が、一私企業に過ぎない既登録商標の権利者の利益を守るべく、その代理人であるかのように振る舞うのはおかしい、既登録商標の権利者に文句があるのなら「異議申立」という制度があるではないかと主張したのに対し、判決には、「先願に係る他人の登録商標と類似する商標の登録を認めれば、先願に係る登録商標の使用をする者の業務上の信用の維持が図られなくなる結果、産業の発達に悪影響を及ぼすと共に、需要者にも商品の出所の混同を生じさせてその利益を害することが明らかである。」とありました。「サイクロン・ドライヤー」の登録を許すと、「産業の発達に悪影響を及ぼすと共に、需要者にも商品の出所の混同を生じさせてその利益を害することが明らか」なのだそうです。

 

 当事者の代理人である(相手)弁護士が、準備書面に、「・・・であることは明らかである。」と書いてくることに対して、最近では、「馬鹿だねこの人は。明らかでないから、このように争いになっているのでしょうが!」と反発を感じるようになったので、自分の準備書面には、極力、「・・・であることは明らかである。」とは書かないようにしているのですが、当事者の代理人でもない裁判官に、「・・・であることは明らかである。」と判決で言われると、「何と言語感覚の鈍い人達よ。この世には、どちらにも言い分のある相対立する考え方・価値観があり、そうであるが故に争いになっているのだから、判決で、・・・であることは明らかである等と言うべきではなかろうに。」とつくづく思います。

 

 理工系のことなら、「ああすればこうなる」かどうかは実験で証明することができますが、文科系の事象は、通常、実験で証明することはできません。してみれば、文科系の事象について、軽々しく「ああすればこうなることは明らかである。」等と言ってはならないのです。

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