オーストラリアの英語は変?
オーストラリアの英語は変?
オーストラリアの現地代理人からの情報によると、オーストラリアでは、動詞compriseは限定的(exclusive or exhaustive)に解釈される危険があるから、明細書に、(他を包含し得る)inclusive な意味である旨の断り書きを入れておいたほうがよいということです。
しかし、この業界では、昔から、動詞compriseは、inclusive な意味であり、限定的(exclusive or exhaustive) なconsist of とは区別される、というのが常識であったはずです。
Today を「トゥダイ」と発音するというおかしなオーストラリア英語は、基本単語である動詞compriseについてまで、「我が道を行く」おかしなことをいうようになったかとの感があります。
これは興味ある問題ですので、さらに調査することとします。
(2002・9・30付記:最近、イギリスから送られて来る特許明細書では、「compriseは、include又はconsist ofの意味である。」、との断り書きがあるのに気が付きました。これは、まさに、オーストラリア英語の、この問題に対応するための文章だと思われます。アメリカからの明細書には、まだ、ありません。イギリスは英語発祥の地だけに、全世界における英語の使用状況に気配りがなされているということでしょう。さすがに、旧「大英帝国」です。なお、英語、それ自体の問題として考えた場合、compriseは「inclusive」、consist ofは「exclusive」というような意味の区別はなく、たまたま、アメリカの特許実務において、そのような解釈が定着して行っただけのようです。
オーストラリアの特許英語はアメリカの特許英語とは違うという主張には、アメリカ英語の支配に抵抗する、オーストラリア人の気概のようなものが感じられて来ました。)
(2006・9・22付記:平成16年2月25日に東京地裁が出した「電気コネクタ用銅基合金事件」の判決は、「comprise」と「consist of」について、再考させてくれる興味深い日本の判例です。
この事件で問題になったクレームの文言は「実質的に・・・からなる」というものですが、もとは英文で、「consisting essentially of」と書かれています。合金関係で多く見られるクレーム形式です。
この判決では、問題の「実質的に・・・からなる」を排他的意味に解し、クレームの要件を充足しながら、且つ、他の要素をも含む被告製品を侵害でないと判断したのでした。