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ANTHROPOLOGIE(アンソロポロジー)事件

ANTHROPOLOGIE(アンソロポロジー)事件②

 その後、第18,25類を指定して商標登録を出願したところ、不正登録2と、B社の新たな登録商標(第25類)を理由とする拒絶理由通知を受けました。

 
なんと、B社は、不使用取消審判中に、不使用で取消されるのを予期していたかのように、狡猾にも、改めて商標登録出願を行っていたのです。
しかし、同出願は、先願であるが故に登録査定を受け、後は登録料を納付するのみとなったにも拘らず、B社は登録料を納付しなかったため、出願却下処分となりました。
不正な登録を受けることに対し、僅かながらでも良心の呵責を感じ、恥を知る心を辛うじて持ち合わせていたのでしょう。

 
かくして、第25類の登録については障害がなくなったため、不正登録2を理由に拒絶されることが予想される第18類についての出願を第25類から切り離し、分割出願を行いました。
また、その後、第35類を指定役務とする出願も行ったところ、やはり、いずれについても、不正登録2を理由とする拒絶理由通知を受けました。
上記のとおり、不正登録2の指定区分は計9類に渡っており、しかも夥しい数の商品を指定しているため、類似関係にある商品が含まれていたのです。

 
第18類の出願については3区分の、第35類の出願については4区分の、無効審判を請求しなければならなくなりました。

 
根拠条文は、上記の商標法4条1項19号。要件は、「外国における需要者の間に広く認識されている」こと(周知性)、そして「不正の目的」です。

 
「周知性」の要件については、

 

  1. ニューヨークタイムズ紙に掲載された商品広告
  2. 成長著しい“ANTHROPOLOGIE”ブランドとその経営者について特集したフォーブス誌の記事
  3. A社が過去に頒布したカタログの抜粋コピー5点
  4. 不正登録2の出願時点で、米国内に73店舗、同月中にさらに3店舗オープンさせていたこと、カタログの発行部数が計1億冊を超えていること、
    オンラインショップへのユニーク・ビジットの数(訪問者を頁毎の重複カウントなしで算出した数。)は、B社による出願直前の1年間だけでも、合計約1,364万件に達していたこと等を記した、A社のCFO(最高財務責任者)による宣誓供述書
  5. ネット上の店舗の主要なページをプリントしたもの

 

を提出しました。特に、フォーブス誌の記事は、このブランドが、アメリカ人女性に広く支持され、ライフスタイルの一部になっていると言っても過言ではないことを示す内容の、非常に良い証拠となるものでした。

 ちなみに、不正の目的をもって使用する他人の周知商標である旨認定したManhattan Portage事件(東京高裁平成15年11月20日)においては、正当な権利者の製品の広告を掲載した雑誌の発行部数は、出願の前年において、1万5千部であったと認定されています。
従って、「周知性」については問題ないであろうと考えました。

 
問題は、「不正の目的」の要件です。

 
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