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道に迷ったときは・・・

道に迷ったときは・・・

これは、昨年1月に出た岡本幸治著「骨抜きにされた日本人」という本にあったものです。著者が山中で道に迷い、あわや遭難というところをベテランに救われたとき、そのベテランから、このように教えられたということです。

この本は、戦後、焼け野原の廃墟の中から、少なくとも経済的には、目覚ましい復興を遂げながら、精神的には情けない状況にあり続けるこの国の戦後の原点が、アメリカ軍による占領政策にあることを明らかにし、勝者に擦り寄って日本人を骨抜きにすることに大いに寄与した、特に、東大法学部の教授達、横田喜三郎、宮沢俊義、丸山真男等の批判に教えられることの多い本でしたが、この名言も心に残っていました。

そして、最近、この名言を実感することがありました。

或る会社の特許担当者から、或る発明について、明細書の原稿を作っているのだが、気になる従来技術が沢山あって、明細書原稿を一体どのように書いたらいいものやら迷っているので、アドバイスが欲しいとの相談があったときのことです。

その時、この名言を思い出しました。そこで、この際、その「気になる従来技術」なるものをすべて忘れてしまって、問題の発明が一体どのようにして生まれて来たのかを考え直してみたら、自ずから進むべき道が見えて来るのではないかとアドバイスしたところ、てきめんに効果があったのでした。発明が生まれるには、必ず何らかの課題が意識されており、その課題を解決するために試行錯誤しているうちに、解決策が見えてくるのです。

一見、似たような従来技術があっても、課題が異なる限り、その課題を解決する手段は従来技術とは異なるものなのです。このような考え方に立つと、進むべき道が分かり、明細書をどう書くべきかがすっきりと見えて来たのでした。

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