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幻の最高裁判決!「曲率半径誤記事件」

幻の最高裁判決!「曲率半径誤記事件」②

一方、小林製薬のほうは、特許庁が「曲率」を「曲率半径」と訂正することを認めたのはおかしいとして、訂正無効の審判を請求しました。

 

 そして、東京地裁で侵害論から損害論へと議論が進んでいるときに、特許庁の訂正を無効とする審決が出たのでした。

 

 原告としてはこれに承服することはできませんから、東京高裁→最高裁と争いましたが、訂正無効の審決がくつがえることはなく、訂正無効審決は確定してしまったのでした。(訂正無効の審決を支持した東京高裁の判決については、「発明」1998年11月号第110頁に神谷弁護士の解説があります。)

 

 訂正無効と侵害事件との関係はどうなるのか?というのが、ここで提起された問題です。

 

 訂正無効審決が確定した後の地裁、高裁の裁判官の態度は、あたかも、訂正無効審決の確定により「最早勝負あった。」であり、侵害にならないことは見え見えといわんばかりで、それにも拘らず原告が侵害を言い続けるのは、同じ問題の蒸し返しだというような感じでした。
 現に、訂正無効審決の確定を知った担当の若い裁判官からは、「取下はしないのですか?」と、あたかも、訴えの取下を促すような電話さえあったのです。

 

 しかし、私は、本当の勝負はここからだと考えていましたし、何十万円も印紙代を払って訴訟をしているのに、裁判所の判断も貰わずに訴えの取下等するはずもありません。

 

 地裁、高裁の裁判官は、訂正無効審決の確定により「勝負あった。」と考えているのですから、判決の内容は推して知るべしで、ともに敗訴となりました(地裁判決については、判例時報1686・111に解説があります)。

 

 そうなると、最後の頼みは、最高裁ということになります。日経新聞に、「特許を巡り最高裁変身」という報道があったくらいですから、「最高裁なら」と期待を抱かせるものがあったのです。

 

 そこで、上告受理の申立をし、その理由として述べた内容は次のとおりです。

 

 

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