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山本七平氏の著作(日本人の人生観、日本人とユダヤ人、空気の研究・・・)

山本七平氏の著作(日本人の人生観、日本人とユダヤ人、空気の研究・・・)

 山本七平氏とは、「日本人とは何か?」を問い続け、その思索の結果を書き留めてくれた、恐らく最高の人であろうと思います。

日本人は、何故、あのように「自然であること」を重要視し、他人の動向を気にし、できるだけ他人と同じであろうとするのか?これらの疑問は、誰しも感じることでしょう。

山本七平氏の著作の中に、これらの問いに対する答えがあります。

「日本人の人生観」によれば、この国では、過去千年以上にわたり、基本的生業は農業であり、しかも、1年に1回しかできない稲作が中心であったということが基本的に重要であるようです。

年に1回しかできない稲作を成功裡に遂行するには、何時、如何なる農作業をすべきかは、自然の推移を注意深く見ながら、それに応じて適切に行なわなければならず、自然に逆らうようなことは、してはならないのです。それが千年以上も続いたために、それこそ自然に、「自然とともにあるべし。」という生活態度が身に付いたのでしょう。

次に、日本人は、どうしてこれ程他人のことを気にし、できるだけ他人と同じであろうとするのか?この問いに対する答えのキーワードは、「日本人とユダヤ人」の中にある「隣り百姓」という言葉です。

年に1回しかできない稲作に失敗しないためには、時機に遅れず適切な農作業をしなければならず、そのためには、何よりも、隣りの百姓が今何をしているかに注意していなければならない、ということなのです。「隣りの百姓」と同じことをしていさえすれば、失敗することはなかったのです。

千年以上にもわたる伝統というものは恐ろしいものですが、今や農業は、この国の基本的生業ではなくなっています。そうだとすれば、これからの日本人のものの考え方も変わるはずで、これからどのように変わって行くのか、興味深いものがあります。

「日本人とユダヤ人」の中には、「日本人は何故忙しいか?」を説明する「キーワード」として、「90日の民」という言葉があります。この国では、「90日」を単位として移り変わって行く四季に対応して生きて行かなければならないため、「のろま」であってはならず、これが日本人は忙しいことの理由だということです。

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