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ことば発見録

その8

 Treacherous weather


(2014・5・19)

 アメリカの気象に関するニュースを聴いていると、treacherous と言う語に良く遭遇するようになった。Treacherous とは、traitor(裏切り者、反逆者)に由来し、loyal の反対であり、人間にloyal であるべき天候が、人間に treacherous すなわち、人間に反逆する、と表現していることになる。これは、人間も自然の一部と考えるなら、到底、出て来る余地のない表現である。では、アメリカ人は、何故、このような表現をするのであろうか?

 宗教学者によると、一神教の一つの特徴は、自然界に明白な上下関係、ヒエラルキーをつくり上げることであり、一番偉いのは神、次に人間(一神教の信者)、その次は人間に仕える家畜、羊、山羊、鳩などが位置付けられ、最下層に野生の自然がくる。つまり、人間にとって役に立つ自然だけが重要であり、人間は自然を自分たちの思うようにつくり上げてよい、とされているとのことである。

 人間に利用されるべき自然が人間に反逆するとは、何たる、不埒な、ということになるのであろう。言葉は思想を表す。このtreacherous weather なる語は、アメリカ人の自然感を、見事に表している。

 このようなアメリカ人に、自然からの報復が来るのは当たり前であり、現に、アメリカでは、extreme weather がnormal weather になりつつある。

 石油の次はシェールガスとか言って浮かれていては、益々自然破壊が進むだけではなかろうか。

(2014・10・28付記)
 アメリカの気象TVニュースで、wicked weather という語に遭遇した。今では、毎日のようにfloods, storm, tornado, drought, wild fireといった自然災害に見舞われているので、恨み辛みをぶっつけたいのであろう。しかし、このような異常気象の原因を作ったのは自分たち白人ではないのか?ということには思いが至らないらしい。

 かつて、アメリカ先住民たちは自然と融合して生きており、自然が恵んでくれる範囲でだけ利用させていただくものと考えていた。そこに白人がやって来た。先住民たちは、彼らを、難渋している旅人として受け容れ、この地での生き方を親切に教えた。しかし、白人は、先住民から土地を大陸ごと奪い、自然を破壊し、思うがままにつくり変えた。このことがまさに、現在の異常気象の原因と考えられる。

 200年ほど前に行われた先住民の代表による演説の中に、「邪悪な日がわれわれの上にやってきました。あなた方の祖先が大きな海を渡り、この島に上陸したのです。」とある。先住民からみれば、この大陸で、やりたい放題のことをやってきた白人こそ、wickedな存在であろう。先住民は、「大地の霊は白人を憎んでいる。」と言っている。

 余談ではあるが、白人は自分達に従おうとしない先住民を奴隷にすることを企てたが、彼らは誇りが高く、奴隷になるくらいなら死んだ方がまし、との態度を取ったため、奴隷にすることは断念したとのことである。恩を仇で返す、とはこのことであろう。

 アメリカ人による自然・環境破壊の主たる前歴:
 @ 鉄道建設の邪魔になるとして、先住民の主たる食糧源となっていた約6000万頭のバッファローを、ほぼ絶滅させたこと
 A その結果増えたオオカミを、家畜を襲うからとの理由で絶滅させたこと
 B ベトナム戦争では、ベトナム兵が隠れることができないようにと、猛毒を含む枯葉剤を使用したこと

(2015・3・11付記)
 或る日のABCニュースの気象ニュースの中で、僅か5分間の間に、treacherous が3回も出て来たのには驚いた。今年は、近年稀な大雪で、車のドライバーは大いに悩まされているらしい。路面が凍結して車が滑り易く、多重衝突が頻発している。この場合、treacherous は slipperyと同じような意味で使われているようである。しかし、slippery なら単に滑り易いというだけのことであるが、treacherous となると、そこに込められている意味が違うと思われる。しかし、こんなことは、英語の中で生活しているnative には感じ取られておらず、外国人に指摘されて初めて分かることなのであろう。

 青函トンネル工事を描いた映画「海峡」(1982)の中での高倉健の次の台詞は、日本人土木技術者の自然観を語るものとして興味深い。

 「自然を相手に戦いを挑み、それをねじ伏せる、というような思い上がりは、絶対に許されないと思います。」

(2015・4・7付記)
 Angelina Jolie が、乳房切除に続いて、卵巣を摘出した、との報道があった。母親から、ガンになり易い遺伝子を受け継いでいるから、というのである。まだ、ガンになってもいないのに予防として切ってしまうというのは、日本人には考えられない発想と思われる。

 人体は自然から生まれたものであるから自然の一部である。故に、このように、好きなように人体を切ったりつないだりしていいとの発想は、つまりは、自然は人間の好きなように変えていいものである、という西洋人の発想とつながっている。

 マイケル・ジャクソンも、顔を白人のように変えてしまった。

 好きなように、切ったりつないだりされた体の方から、報復が来るのではないかと心配である。



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