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ことば発見録

その7

 a question for youの意味


(2013・9・3)

 英語圏の現地代理人が、しばしば、”We have a question for you.”と書いて、我々に質問をしてくる。この英文を見ると、 ”for you” とあるので、一見、「あなたのための質問」ととれる。ところが、「あなたのため」は、全く関係なく、要は、自分が知りたいことを尋ねているだけである。なのに、一体、何で、“for you” なんて言うのだろうと、ずっと疑問に思っていた。

 やはり、基本に返ることで、この疑問は解決した。もともと、前置詞”for” は、「方向」を表わすものであるから、この文は、「あなたに向けられた質問」ということで、要は、「あなたに尋ねたいこと」があると言っているだけなのである。このような疑問が生じるのは、日本の英語教育では、前置詞”for”は、「ために」を意味すると教えられ、基本的には「方向」を表しているだけである、とは教えていないことが影響しているように思われる。

 このことに関して、刀祢雅彦著「前置詞がわかれば英語がわかる」に面白い記述があった。次の英文を見て欲しい。

 She read a book ( ) her son at bedtime.

 この文の括弧の中に、普通の日本人なら、”for” を入れるであろう。息子のために本を読んであげたのだから・・・

 しかし、ここは、 ”to” でなければならない。”for” は「方向」を示すだけで、「到達」は関知しない。読んで聞かせる以上、読んだ内容が息子に到達しているはずであるから、「到達」を示す”to” が来なければ意味をなさない。

 なお、a question for youの"for"は、不定詞の主語を表すもので、後に、"to answer"が省略されている、と見ることもできる。そこまではっきり言うと押し付けがましいから、略されているだけかも知れない。

(2013・11・13付記):
 約40年前に大ヒットした「幸せの黄色いリボン」というアメリカの歌の中に、「Bus driver please look for me,…..」という詞がある。”look for” と言えば、「〜をさがす」と教えられているため、この部分だけを和訳しようとすると、「運転手さん、私をさがして。」となってしまいそう。しかし、バスに乗っている人が、バスの運転手に、こんなことを言うはずがない。

 この場面では、「運転手さん、(樫の木に黄色いリボンが結んであるかどうか)私の代わりに見てくれないか。」と頼んでいるのである。つまり、この”for”は、日本人には余り馴染みのない、「〜の代わりに」を意味する”for”なのである。ちなみに、この後、「’cause I couldn’t bear to see what I might see.」という歌詞が続く。山田洋次監督、高倉健主演の映画「幸福の黄色いハンカチ」は、この歌をヒントに作られたものであるが、この日本映画では、桃井かおりが、決断がつかない、主人公の高倉健に、「勇(ゆう)さんが自分で見に行くのが怖いのなら、私が代わりに見に行ってあげる。」と、言っている。(学校英語では、「代わりに」は「instead of」と教えられているので、日本人なら「look instead of me」と言ってしまいそうである。)

 なお、上述した刀祢雅彦著「前置詞がわかれば英語がわかる」には、「代理」の”for” と、「到達」の”to” の例文として、次の一文が紹介されている。「Your aides have said that you don’t (can’t?) read the briefing papers they give you, and that you ask them to read them for you or to you.」これは、「あなたの補佐官たちによると、あなたは渡された資料を読まない(読めない?)で、代わりに読んでおいてくれとか、読んで聞かせてくれと言っているそうだね。」という意味であり、ブッシュ前大統領に対する強烈な皮肉になっている。

 また、上掲の問題の文で、read a book for her son だと、母親が息子の代わりに本を読んだことになり、意味をなさなくなってしまう。

(2016・1・12付記):
 David Thayne 氏によると、 I have a question for you. は、ネイティブには、「お前にひとつ聞きたいことがある。」というように聞こえるそうである。従って、目上の人に使うのはまずいらしい。それを避けるには、I have a question to ask you. というのが望ましいとのこと。こんなことは、ネイティブに言われないと気が付かない。しかし、一番丁寧なのは、May I ask you a question? であろう。

 ところで、同じような意味で、I have a question to you. というのもあるらしいが、これには、何となく違和感が感じられる。この理由は、動詞have が状態を表わしているのに対して、前置詞to は動きを表わしているためであろう。だから、put a question to youなら座りが良く、現にこの表現は、debate や court proceedings で使われるとのことである。




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