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コラムCOLUMN

4.むやみに漢字を使うな!

 特許明細書にやたら難しい漢字が多用されていることは周知の事実です。螺合、係合、弾設、嵌合、遊嵌・・・・、枚挙にいとまなし!

 私自身も、明細書に「かな」が多くて漢字が少ないと、何だか幼稚な感じがしたもので、「〜をそなえる」は、「備える」なのか「具える」なのか、とか、「〜のかわりに」は、「代わりに」なのか、「替わりに」なのか、等と真面目に考えたことがありましたが、最近、高島俊男著「漢字と日本人」という本に接し、目からウロコが落ちるおもいがし、考え方が基本的に変わりました。

 週刊文春の「お言葉ですが・・・」で有名な同氏は、「もともと漢字は日本人のためにあるのではなく、中国人のためのものなのだから、日本人はできるだけ漢字を使わないようにしよう。かなで結構。無知で教養のない人ほど、漢字をありがたがる。」といわれます。

 「そうだったのか!」と納得し、今では、「〜のほう」とか、「おもう」とか書いているわけです。

 漢字を使うと、何となく高尚な気分がし、わかったような錯覚にとらわれる危険があるようです。「分光特性の最大感光域」という(もっともらしい)用語では、結局、技術的内容が明らかでないとか、「受板の生瓦との間に緩衝作用を行なう空気層を介在させた状態」とはどのような技術的構成をいうのかこれを知ることができない、というような裁判例(特許は取ったが、文字どおり「飾り」で終わってしまった!)は、むやみに漢字を使ってわかったような気分になるなという戒めかも知れません。

 ところで、月刊誌「Voice」3月号213頁によれば、「漢字と日本人」は、八重洲ブックセンターにおいて、ノンフィクション系のベストセラー第1位になっているとのことです。これほど地味な言葉に関する本がベストセラー第1位になるなんて、「著者当人が一番面食らった」そうですが、私も、自分のことのように嬉しくおもっています。この本は、実は、漢字(と英語も少し)材料にした、卓抜な「日本人論」です。

 漢字をありがたがる日本人の心情は、今の「平成」という年号が決まったときも、昨年、皇孫ご誕生の際の、お名前の由来の説明においても、中国の古典が引用されたことから窺われるように、中国文明に対する憧憬・拝跪の念として、日本人の遺伝子に組込まれているのではないかとさえおもわれます。そろそろ卒業せねば、恥ずかしいのではないでしょうか?




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