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コラムCOLUMN

幻の最高裁判決!「曲率半径誤記事件」

 特許事件といえば、大体において、技術的内容が難しく、それ故、敬遠されるのが普通ですが、ここに、最高裁まで行った事件でありながら、技術的には実に分かりやすい事案があり、どなたでも、自分ならどう判断するであろうか?と自問してみることができる案件ですのでここに紹介します。

 これ程重要な論点を含む事件が、このまま闇に葬られてはたまらないという思いがこれを書かせています。

 後藤敬子という横浜の女性発明家が、「脇下汗吸収パッド」という考案をしました。
 その内容は、実公平4−21774という公報に記載されており、その請求項1には、「吸水・吸臭層と止水層とを備える袖添付け部と身頃添付け部とを吸水・吸臭層を外面側とし止水層を内面側に対向させて重合し、両添付け部を彎曲連結部で相互に連結し、袖添付け部と身頃添付け部の内面側に両面接着テープを取付け、袖添付け部と身頃添付け部の縁部を前記彎曲連結部より曲率の小さな3つの彎曲を連ねた縁形状としたことを特徴とする脇下汗吸収パッド。」と記載されています。
 このように漢字が一杯出てくるとそれだけで敬遠したくなるかも知れませんが、図を見ればなんてことはありません。

 この考案の特徴を最も表わしているのが次の第2図です。


 或る日、後藤さんは、大阪の「小林製薬」という会社が、「あせワキパット」という名称で、下図のような商品を販売しているのを知りました。


 これは、自分の考案の無断実施ではないかと考えた後藤さんは、侵害差止、損害賠償請求という法的アクションをとろうとしましたが、ここで、明細書に重大なミスのあることを発見することになりました。

 何と、明細書全体を通じて、「曲率半径」のつもりで、「曲率」と誤記されていたのです。

 このままでは権利行使ができないと考え、後藤さんは、特許庁に「曲率」を「曲率半径」と訂正する審判を申立てました。

 その請求はすんなりと認められました。そこで、後藤さんは、東京地裁に、小林製薬を相手に、実用新案権侵害の訴訟を提起したのでした。




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